環礁という象徴─ グローバリゼーションとマーシャル人の創造力 ─

第37回 GLOCOLセミナー

環礁という象徴
─ グローバリゼーションとマーシャル人の創造力 ─
日 時:2009年7月14日(火) 17:30~19:30
場 所:大阪大学銀杏会館3F大会議室(吹田キャンパス)
講 師:グレッグ・ドボルザーク(東京大学)
参 加:無料・事前申込み不要
言 語:日本語
主 催:大阪大学グローバルコラボレーションセンター
http://www.glocol.osaka-u.ac.jp/research/090714.html


中部太平洋に広がるマーシャル諸島の人々は3000年以上前からカヌーで長い距離を渡り、太平洋の島々を行き来する中で、「グローバル」な意識の中に生きてきた。18世紀から欧米や東洋の船が数多くマーシャルに訪れるようになり、世界各地の人々との交流が始まった。20世紀に入ってからは、植民地主義や帝国主義の影響を大きく受け、マーシャル諸島はドイツや日本の植民地を経験した。太平洋戦争では「玉砕」の島となり、戦後はアメリカによる統治を受けた。アメリカはマーシャル諸島を核実験場として利用しただけでなく、両国間で結ばれた自由連合協定の盟約に基づき、現在でもクワジェリン環礁を迎撃ミサイル実験場として使用しつづけている。一方、この盟約に基づき、マーシャル人は制限なしにアメリカに移住することができる。同時に、地球温暖化による海面上昇により、いつか自分たちの島に帰れなくなるかもしれないという悲しい運命が迫っていることも否定できない。

こうした激動の現代史を経験してきたマーシャル人は、戦争やグローバリゼーションの「被害者」として語られ矮小化されがちあるが、彼らは3000年以上昔からグローバル化の過程を立派に「サバイバル」し、マーシャル的な価値観やマーシャル語を守り続けてきた。現代マーシャル人はアメリカに移住しても、まるで「環礁」のような根強いコミュニティーを作り、前向きに明るく力強い暮らしを続けている。

マーシャル人は他の島の人やマーシャルの外の人たちとの関係性を保ちながらも、自分たちのコミュニティー精神が強く、彼らが住む環礁の島々が珊瑚礁で強く結びついていることと同様に、人と人の「輪」も強く結びつく。マーシャル人は歴史的な経験においてグローバルとローカルのバランスをとり、現代ではグローバルな課題も乗り越えていく可能性を自ら創造している。マーシャル人自身はグローバリゼーションの「被害者」ではなく、「主体者」であり、一種の「ヒーロー」と位置づけられる。

このセミナーでは、写真や映像を交えながら、マーシャル人の歩みと現代の問題から「環礁」という概念を通じ、ローカルとグローバルな関係性についての新しいアプローチと視座を提供する。


講師紹介
グレッグ・ドボルザーク(博士)・1973年米国フィラデルフィア生まれ。世界最大の環礁であるマーシャル諸島共和国クワジェリン(旧日本名=ケゼリン)にある米軍迎撃ミサイル実験基地で、父の仕事の関係で小学校時代まで過ごした。アメリカの高校卒業後、宮崎県小林高校や早稲田大学に留学し、1996年にニュージャージー州立ラトガーズ大学東アジア地域学部を卒業。宮崎県南郷町や2000年九州沖縄サミット事務局に4年間、東京の広告代理店に2年勤めてから、ハワイ大学大学院太平洋島嶼研究所に進み、2004年に修士を終了し、2008年にオーストラリア国立大学から学際クロス・カルチュラル研究(歴史・文化人類学・地域研究・映像)で博士号を取得した。現在、学術振興会特別研究員として東京大学大学院情報学環に所属しながらドキュメンタリー映画や本も制作中。
URL:www.gregdvorak.com

お問い合わせ
大阪大学グローバルコラボレーションセンター
jimu●glocol.osaka-u.ac.jp
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by books131 | 2009-07-09 14:56 | イベント転載