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ソーメン代

「ソーメン代がね」と Tさんが言ったので
何の ソーメン代?
不思議におもった

西成では 日雇いの仕事のなくなるお盆と正月
それぞれに ソーメン代 モチ代というお金が配られる(?)ようだ

毎日 たくさんの路上で眠る人をみる

倒れ込んだように眠っている人もいる

座ったまま かがんで 地面に頭をぶつけそうな姿勢の人もいる

裸足の人も

眠っている

夜の道で眠ることは ずいぶん体力をなくすことだろう
雨が 降っても 屋根もないのだから

なかには 性的な嫌がらせを口にする人もいるけれど
たいていは「よー べっぴんさん」と にこやかだ

いちど フェスティバルゲートを出ようとしたときに
すこし遠くから 声がきこえた
「いただきます!」元気のいい 凛とした声だった

みると その通路の端っこに座って お弁当を広げていた

すると その人は
「あー こんなことになって 恥ずかしい」と ひとりごち
とっても悲しそうに ご飯を口にしたのだ
胸に こみあげるものがあり わたしは その場で
硬直してしまった
作業着のその人は 今晩ドヤにも泊まれなさそうだ

わたしは 声をかけたかった が
どう言えばいいのか わからなかった

いまなら 思う
どんなことばでも よかったのだ

   悲しまないで

   だいじょうぶ

   がんばって

いまでも いちばんよいことばを思いつけない
そして 言えなかったわたしは ずっと後悔している

それから その声を聞くことはない

ソーメン代をもらうのだろうか その人は
 


今日は 早起きで
二次審査に 野田まで行き
ココルームに一番乗りすると 開店準備をして
それから ヒアリングや 打ち合わせや
原稿書きや 編集作業に明け暮れ
睡眠不足で 気分が悪いけど なんとか仕事している
夜は 着付け教室

by books131 | 2005-07-21 18:20